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ビットコインのガチホとシステムトレード、どちらが儲かるのか検証してみた

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ビットコイントレーダーにとって、昨年は買って持ってるだけで誰でも儲かる相場でした。ガチホ勢 (長期保有者) は「ガチホ最強!」と涙を流して喜びました。

一方、今年は買って持ってるだけで誰でも損する相場になりました。ガチホ勢は違う意味で涙を流したと思います。

「それなら、去年はガチホして今年はすぐに売ればいいじゃん」というのは結果論です。未来のデータがわかれば誰も苦労しないし、ビフもスポーツ年鑑なしで街を牛耳っていたはずです。

一方、この一年間システムトレードで売買していたらどうなっていたのでしょうか。システムと言っても難しく考える必要はなく、ここでは単に「買いルール」と「売りルール」に従って売買を繰り返すだけのものをシステムと呼びます。

というわけで今回は、ビットコインをガチホするケースと、ルールに基づいて売買するケースを検証してみようと思います。

検証期間は直近の一年間とします。強烈な上げ相場と下げ相場の両方が含まれるので、それぞれの特性の違いが現れて面白そうです。

(※ 今後どちらが儲かるか、という検証ではありません)

検証してみよう

検証には、当ブログで昨年から何度か紹介しているシンプルな移動平均線ルールを使います。このルールを最初に紹介したのは昨年の 10 月なので、それ以降のチャートに合わせて意図的に調整することはできません (それ以前のチャートにも合わせていませんが)。

ガチホとの比較なので、トレーダーはロング専門ということにしてショート (空売り) はなしで検証します。

売買ルール

今回検証する移動平均線ルールでは、指数平滑移動平均線 (EMA) を 2 本 (10, 20) 使います。買いシグナルと売りシグナルは次の通り。

買い:10EMA が 20EMA を上抜け (ゴールデンクロス)
売り:10EMA が 20EMA を下抜け (デッドクロス)

以下、検証用の細かい条件。

  • 期間:2017年8月25日〜2018年7月25日
  • Trading View の日足データ (BitFinex) を使用
  • 売買はシグナルを確認した翌日の始値で行う
  • 最終日にポジションがある場合は終値で売却

ガチホのルールは以下の通り。

ガチホ:初日の始値で購入、最終日の終値で売却

以上のルールで、原資 10,000 ドル (約 111 万円) をどこまで増やせるかそれぞれ検証してみます。

[追記]
あ、間違えた! これじゃ 11 ヶ月間だ。2017年7月から開始すべきだった。ま、いっか・・・・・・。

検証結果

手数料や誤差などの細かいことは無視して単純計算で比較します。

BTCを期間中ガチホした場合

原資 10,000 ドルが 18,922 ドル (約 210 万円) に!

BTC1
ガチホ
BTCを移動平均線ルールで売買した場合

原資 10,000 ドル が 22,756 ドル (約 253 万円) に!

BTC2
移動平均線ルール

BTC を一年間ガチホした場合の利益は 8,922 ドル (約 99 万円)、移動平均線ルールでの利益は 12,756 ドル (約 142 万円) という結果になりました。

ただし、実際の取引では手数料やスリッページなどが発生するため、取引回数が増えるほど誤差が生じます。

うーん・・・・・・何というか、思ったほど大きな差がなくて企画倒れ感がすごいですね。

このままでは終われないので、せっかくだから時価総額第 2 位のイーサリアム (ETH) で同じ検証をしてみます。

ETHを期間中ガチホした場合

原資 10,000 ドルが 14,495 ドル (約 160 万円) に!

ETH1
ガチホ
ETHを移動平均線ルールで売買した場合

原資 10,000 ドル が 34,245 ドル (約 380 万円) に!

ETH2
移動平均線ルール

ドンッ! イーサリアムでは大きな差が出ました。

一年間ガチホした場合の利益は 4,495 ドル (約 49 万円)、移動平均線ルールでの利益は 24,245 ドル (約 269 万円) となりました。約 5 倍の差があるので、これなら手数料やスリッページを加味しても十分に優位性があることがわかります。

考察

ビットコインのトレード方法を検証するという企画でしたが、利益に大きな差が出たイーサリアムのチャートを見ながら考察してみます。

買いシグナルが出たポイントを黄色の丸、売りシグナルが出たポイントを水色の丸で示しました。

ETHUSD
ETH/USD(日足)

このチャートからわかるように、11 月上旬の 2 回目の買いシグナルで購入した後、慌てて利益確定することなく 2 月上旬まで持ち続けることで大きな利益を生んでいることがわかります。早く利益確定したくなるのは、これまでにも何度か触れたプロスペクト理論ってやつですね。

さらに、2 月上旬の売りシグナルで利確して以降は、無駄にポジションを持つことなく暴落期をやり過ごしています。ここ重要。

その後は 4 月の小さなアップトレンドでもうまく利益をあげ、5 月以降の下落期は再びノーポジションでやり過ごしています。

このように、高騰中だけポジションを持ち、下落中には持たないという理想的な売買になりました。単純なルールに従うだけで、冒頭で書いた「去年はガチホして今年はすぐに売ればいいじゃん」を実現しています。スポーツ年鑑は持ってないのに。

一方ガチホは、高騰中はウキウキですが暴落してしまっては元も子もありません。あの日の含み益は幻だったのです。

おわりに

今回紹介したシステムは、システムトレードの説明用に昨年作った非常に単純なルールですが意外と効果的です。もし昨年からこのルールに従ってトレードしている方がいれば、今頃はかなり儲かっているかもしれません。

もちろんルールやパラメータを変えることで、性能の異なるシステムをいくらでも作ることができます。僕の本命システムも今回紹介したルールとは違うものです。

参考になる書籍がたくさんあるので、興味があれば自分専用のシステムを作ってみてください。

ちなみに、普通はプログラムを作って検証するものですが、今回はあえて表計算ソフトを使って手作業で検証を行いました。つまり、やる気があれば誰でもできるということです。

興味深いことに、純益リストの上位 5 番目までにランクされているアイデアは、本質的にはトレンドフォロー型に分類できる。これらの結果から確実に言えることは、少なくともポートフォリオの観点からは、「トレンドはフレンドである」ということだ。

ただし、システムと聞くとどんな相場でも常に利益が出せる魔法のようなものをイメージする方もいるかもしれませんが、実際はそんなに都合の良いものではなく、どんなシステムでも損をする時期が「必ず」あります (ドローダウン)。

今回の検証でイーサリアムのトレードがうまくいったのは、「たまたま調子が良かっただけ」かもしれません。

今後も確実に儲かるという保証はないので、投資に関してあらゆる判断は自己責任で行ってください。

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