「どうやって英語を勉強したら良いのかわからない」とお困りのあなた、その気持ちよくわかります。僕もいろいろな勉強法を試しては何度も挫折しそうになりました。
「やっぱり留学するしかないのか・・・・・・」と考えたくもなりますが、留学しないで通訳者になった方も大勢います。英語のプロフェッショナルである通訳者は、一体どのような勉強法・トレーニング法で英語力を鍛えているのでしょうか。
今回は通訳者の勉強法とトレーニング法を簡単にまとめて紹介します。意外なことに、英語初心者にも実践できる方法も多く、スピーキング力だけでなくリスニング力やリーディング力も鍛えられるので、TOEICや英検などの試験対策にも効果的です。
学習効果をブーストする秘訣
具体的な勉強法の前に、学習者が知っておきたいルールを説明します。
以下のルールにより学習効果がいっそう高まります。
絶対必要な「繰り返し」と「継続」
学習で一番大事なことは「繰り返し」と「継続」です。
どんな人でも一回勉強しただけで英語が身につくことはありません。通訳者も英語の学習には「繰り返し」と「継続」が必要と答えます。
通訳者に「語学学習に必要なものは何か」と聞けば、全員が「繰り返し」と「継続」だと答えます。
リスニングを何度も繰り返す、スピーキングを何度も繰り返すというふうに、血肉になるまで地道に繰り返すのが基本です。
また、インプットだけ練習したり、アウトプットだけ練習するというのではなく、インプットとアウトプットをバランス良く練習することも必要です。
英語力をつけるには、この3つのステップを繰り返していくこと。それに尽きるのです。
1、インプットすること
2、アウトプットすること
そして3、このサイクルを繰り返し継続することです。
このように、地道な「繰り返し」と「継続」が基本中の基本です。
時間を区切る「締め切り効果」
適当にダラダラと勉強するより、時間を区切って勉強する方が効果的です。
「締め切り効果」という用語があるように、時間に制限を設けることで集中力が高まります。たとえば45分の勉強をしたら15分の小休憩をとり、再び45分の勉強を行うというふうに時間管理を行います。
通訳者の中には、キッチンタイマーで時間を計って勉強をしている人もいます。
(中略)
一度タイマーをセットしたら、タイマーが鳴るまで、「今、何分だろう」と余計なことは一切考えず、目の前の勉強に集中します。
このように時間を区切って勉強する習慣を付け、細切れの時間も活用できればさらに効果的です。
ある通訳者は、仕事が予定より早く終わったときなど、保育園の迎えの時間までにすぐ近くの公園のベンチで、次の仕事の準備や勉強をするそうです。
ハードルは低く、完璧を目指さない
英語勉強法について調べると、「TEDを見て勉強しましょう」のような意見も目に入りますが、いきなりTEDで勉強できる人がどれほどいるのでしょうか (番組自体は面白いけど)。
最初からハードルを高く設定しても、すぐに挫折してしまっては意味がありません。まずは自分に合った無理のないレベルから始めるのがおすすめです。
自分の英語レベルに合った教材や学習法を見極めるのは重要なスキルのひとつだ。それを続けるほうが、いきなりCNNにチャレンジしてすぐに挫折するよりは長期的に見て英語が身につくことは間違いない。
また、完璧を目指さないことも重要です。
たとえば英語を話そうとするときに、「完璧でなくても伝われば良い」「簡単な単語や表現が使えれば良い」と考えると気が楽になります。
表現に正解はない。自分の言いたいことを伝えるために、すでに知っている単語を使って表現を工夫するというのも、単語数を増やすのと同じくらい有効だ。
通訳者が実践する勉強法・トレーニング法
ここからはプロの通訳者が実践する勉強法とトレーニング法を見ていきます。通訳者を目指すハイレベルな人だけでなく、初級者でも実践できる効果的な勉強法・トレーニング法です。
シャドーイング
通訳者のトレーニングに取り入れられており、初心者にもおすすめできる練習法は「シャドーイング」です。リスニング力やスピーキング力が伸びる非常に効果的なトレーニング法として有名です。
私もみなさんのように英語の学習に悩み、日本や海外で活躍する同時通訳者たちに、「英語力が一番身につく勉強法は何ですか?」と何度も質問したことがあります。
この質問を投げかけたとき、彼らは必ずと言っていいほど、「それは、シャドーイングです」と答えるのです。
英語のリズムをつかむのにお勧めなのが「シャドウイング」だ。同時通訳の訓練に使われるエクササイズで、英語を聞いて、聞こえたそばから音を聞こえたまま英語でしゃべりながら追っていく。
シャドーイングとは、CDやスマホなどで英語音声を聞きながら、ワンテンポ遅れて追いかけるように発音する練習法です。影 (シャドー) のように後から追いかけて、聞こえる音をそのまま声に出します。
耳から入る英語の音声をできるだけ真似してシャドーイング練習をすることで、英語らしい発声を身に付けます。また、英語の音声特徴を掴むと共にリスニング能力も向上します。
シャドーイングの練習は、最初は英文を見ながらでも良いですが、慣れてくると何も見ずにできるようになります。たとえばスマホがあれば風呂で半身浴をしながら練習することもできます (防水と感電対策を忘れずに)。
練習用書籍
ベレ出版の「音読パッケージトレーニング」シリーズは、英語音源がシャドーイングの練習に使いやすい構成になっています。また、後述する「究極の英語リスニング」シリーズは難易度が選べるので初級者向けです。
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リプロダクション
リプロダクション (リプロ) と呼ばれるトレーニングもシャドーイングと並んで効果的です。
リプロはもともと、シャドウイングと並んで通訳者専門のトレーニング方法だったのですが、ビジネスレベルのリスニングでも役に立つため、最近では一般の英語学習者にも取り入れられているようです。
リプロとは、英語の音声を一通り聞いてから、自分でその英文を再現 (復唱) するトレーニングです。内容が大きく変わらなければ、全く同じ英文でなくても大丈夫です。
- 英文を1文聞いたら音声を止める
- 復唱する (違う単語や構文を使っても良い)
- 慣れたら2文、3文と伸ばす
リプロダクションは記憶保持力や集中力を鍛え、リスニング力、スピーキング力、語彙力、文法や構文の知識などが養われます。最終的には、自分の意見を英語で述べる能力を身に付けることが目標です。
練習用書籍
リプロダクションに関しては、トレーニング用の書籍が出版されています。「入門編」「ビジネス編」などいくつかの種類があるので、自分のレベルに合わせて選択できます。
英語リプロダクショントレーニング入門編: 通訳メソッドで、話す力が飛躍的にのびる! | |
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サイト・トランスレーション
サイト・トランスレーション (サイトラ) とは、英語の音声を聞いてその語順のまま理解するトレーニングです。
同時通訳者の場合、英語を最後まで聞き終わってから和訳する余裕はありません。そのため英語の語順でどんどん処理していきます。
TOEICのような試験では短時間で大量の英文を処理しなければならないので、サイトラのトレーニングが効果的です。
英語を頭からどんどん理解できるようになれば、読むスピードは格段に上がり、同じ時間でも得られる情報量は倍増します。
(中略)
また、ネイティブと同じようなプロセスで英文を理解することで、リスニング力も伸びていきます。
練習用書籍
サイトラのトレーニングには、スラッシュリーディングのような語順通りに理解する書籍が役立ちます。もちろん他の書籍や英語のニュースサイトなどでも大丈夫です。
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サマライジング
サマライジングとは、論理をつかみ、大意を把握する練習です。
英語で読んだり聞いたりするとき、すべてを完全に理解しようとするのは難しいですし自信もなくなります。大切なことは、知らない単語が出てきても話の要点をつかむことです。
- 英文のテキストを辞書で調べずに読む
- 理解した内容を日本語で要約して書く
- できれば第三者にチェックしてもらう
リスニング用CDなどを使って、耳で聞いた英文を要約する練習も効果的です。基本的な方法はリーディングの要約と同じです。
- CDを繰り返し聞き取る。知らない単語は推測して、大意が理解できるまで繰り返しリスニングする
- 頭の中で要旨を日本語でまとめる
- 頭の中でまとめた要旨を声に出して言ってみる
練習用書籍
「究極の英語リスニング」シリーズは簡単なレベルから徐々に難易度が上がっていく構成になっているので初心者向けです。本書は Vol.1〜Vol.4 まで Kindle Unlimited 対象商品なので会員の方は読み放題です。
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クイックレスポンス
クイックレスポンスとは、日本語を見て (聞いて) 瞬時に英文に変換するトレーニングです。「瞬間英作文」と呼ばれることもあります。
英会話では簡単な英文でもとっさに出てこないことがよくあります。クイックレスポンスで日本語から英語への変換を練習することで、瞬間的なアウトプット力が鍛えられます。
練習用書籍
ベレ出版の「瞬間英作文」シリーズがクイックレスポンスの練習に適した構成になっています。音声CDを利用することで、本を見なくても音声だけで練習できるようになります。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK) | |
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昨年には最新作となる『バンバン話すための瞬間英作文「基本動詞」トレーニング CD BOOK』が出版されました。日常会話で重要な「基本動詞」が学べる内容になっています。興味があれば以下の関連記事をご参照ください。
練習用アプリ
リクルートが提供するスタディサプリENGLISH [日常英会話コース] にはリスニングやディクテーション (書き取り)、発音チェックなどの機能があり、クイックレスポンスのトレーニングも行えます。
スタディサプリENGLISH [日常英会話コース] は月額980円の有料アプリですが、7日間の無料体験が利用できます。
リンク(無料体験):英語学習の新定番!スタディサプリ ENGLISH
おわりに:あると便利なツール3選
今回は通訳者が実践する勉強法やトレーニング法をまとめて紹介しました。
最後に、英語学習者が持っていると便利なツールを紹介します。「別になくても良いけどあったほうが良いかな」というレベルなので参考までに。
ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンは、シャドーイング練習のときに限らず、集中して勉強したいときにも役立ちますよ。
ノイキャン機能付きイヤホン・ヘッドホン
英語音源を聞きながらシャドーイングをするときは、自分の声のせいで音源が聞きづらくなるのでイヤホンやヘッドホンを使うのがおすすめです。
僕はノイズキャンセリング機能が付いたSONYの「MDR-NWBT20N」を壊れるまで数年間使い倒しましたが、安価だった割に周囲の雑音がかなりカットできるので快適でした。最新の製品はノイキャン機能がさらにパワーアップしていて驚きます。
SONY ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン WH-1000XM3 | |
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たとえばこの製品のノイキャンはかなりの高性能。サイドの「NC/AMBIENT」ボタンを押した瞬間に周囲の雑音がスッと静かになります。
カスタマーレビューによると、木造アパートの騒音対策にも役立つようです。
素晴らしいノイズキャンセリングだと思います。私は木造の築13年のアパートの一階に住んでいて、入居以来二階の住人の慢性的な足音、隣人の大学生の重低音ボイスに悩まされていました。転居するくらいなら、という思いでこの少し値の張るヘッドホンを購入したのですが、まず隣人の声、そして室外機の音、一切聞こえなくなりました。(以下略)
他の方のレビューでも「ノイズキャンセリングがすごい」という意見が見受けられます。機会があったら試してみてください。
WH-1000XM3買ってからまじで愛用してる。
— ォヵ (@bbbkou) 2019年2月19日
ノイズキャンセリングって地味だけど、使ってくうちにもうこれがないと生きていけない身体になってしまった。
俺と同じくHSPの人とか、
静かで集中できる環境が欲しいけど用意できない人は絶対買った方がいい。
ホワイトノイズ系アプリと組み合わせると最強。 pic.twitter.com/skgz1cMbeV
[追記]
ノイズキャンセリング機能付きイヤホン・ヘッドホンの簡単な解説記事を書きました。
電子辞書
スマホでも辞書が利用できますが、電子辞書は英和・和英・英英など多くの辞書が同時に利用できるので一台持っているとかなり便利です。英単語の発音も確認できます。
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電子辞書はバッテリー持ちが良く、ネットが繋がらない場所でも使えるため、図書館や外出先で勉強する方には便利です。
僕は英語学習を開始したころに電子辞書を購入して、今でもときどき使っています。
キッチンタイマー
時間を区切って勉強する際にはキッチンタイマーがあると便利です。
周りに人がいる環境など、タイマーの音を鳴らしたく場合にはバイブレーション機能のあるタイマーが役立ちます。
タイマーに関してはスマホアプリなどで代用できるので、あえて購入する必要はないかもしれませんが。
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