突然ですが、問題です。
正しい英文はどちら?
- I went to shopping.
- I went shopping.
「私は買い物に行った」
正解は 5 秒後。
4
3
2
1
0
1 番の I went to shopping. を選んだ方は、I went to Tokyo. と同じ感覚で考えたのではないでしょうか。これはよくある間違いです。
go shopping で「買い物に行く」という意味になるので、正解は 2 番の I went shopping. でした。正解した方の中には、理屈で正解した方もいれば「何となくわかった」という方もいると思います。また、「1 番の I went to shopping. は何となく気持ち悪い」と感じた方もいるかもしれません。
「何となくで正解しても意味ないだろ」と思われるかもしれませんが、何となくわかることも理屈でわかることと同じくらい大事なことなんです。
英語の達人は音読を学習の中心に据えている
多くの英語関係者が勧める勉強法の 1 つに「音読」があります。なぜ音読が良いのでしょう。
それは、正しい英文を何度も何度も繰り返し音読することで、口が勝手に正しい英文を覚えてくれるからです。自転車の乗り方を体で覚えるのと同じことです。理屈だけ理解しても練習しなければ自転車に乗れるようにはなりません。
英語の勉強は「理屈が半分、慣れが半分」なので、正しい英文を何度も音読すると、間違った英文を見たり聞いたりしたときに「何となく気持ち悪い」という感覚になります。理屈も大事ですが、この感覚を伸ばすと反射的に対応できるようになるので実用的なんです。
テレビ CM などで有名な英語講師の安河内哲也氏も音読を強く推奨しています。
実際、英語の達人たちに話を聞くと、多くの人々が「『音読』を学習の中心に据えた」と答えます。私自身も音読に出会って英語の力が驚くほどアップしたという経験の持ち主です。音読を徹底的に行ったことで、さまざまな英語の試験に合格することができ、TOEICやTOEFLのスコアを大幅に上げることができました。また、英語でプレゼンする能力や英会話の力も、格段にアップしました。
音読を中心とした学習法で英語の達人と呼ばれるようになった人はたくさんいます。
たとえば、日本の同時通訳の草分けといわれる國弘正雄先生もそのひとりです。國弘先生は、中学生のときに教科書を何度も音読し、すべてを暗記したそうです。その後、同時通訳の道を究めるに至ったのです。
ネイティブ音声を聞きながら
音読をするときは、できれば CD などの音源があるものを利用する方が望ましいです。適当な発音やリズムで音読するのではなく、ネイティブ音声をそっくり真似しながら音読することで、正しい発音・リズム・イントネーションが身につき、さらにはリスニング力もアップするからです。
ただし、1 回や 2 回音読した程度では身につきません。10 回でも 20 回でも、できる限り繰り返す方が効果的です。この点はスポーツや楽器の練習と同じです。
音読用に使いやすい教材
英語の音読に使う教材は基本的にどんなものでもかまいません。普段使っている教材や、英語のニュース記事などを何度も繰り返し音読すると良いでしょう。
それでも「何かおすすめはないの?」と言われるなら、以下の教材が利用しやすいのでおすすめです。
こちらは國弘正雄氏の『英会話・ぜったい・音読』シリーズで最も基礎的な「続・入門編」です。簡単な英文なので初級者でも読みやすく、付録 CD を利用してリスニング練習やシャドーイング練習もできます。
他にも「標準編」や「挑戦編」などがあるので、自分のレベルに合わせた学習がしやすいシリーズです。10 年以上前に出版されたシリーズなので少し古いですが、そのぶん中古 (古本) で安く購入しやすいというメリットもあります。
こちらは『音読パッケージ』シリーズの一作目です。『音読パッケージ』とは「音読」「リピーティング」「シャドーイング」を 1 つにまとめたトレーニングで、特にリスニング力アップに劇的な効果があるのでおすすめです。
『音読パッケージ』シリーズも難易度が 3 段階用意されています。個人的に強くおすすめしたいのは、コンパクトな例文が数多く収録されている「中級レベル」です。
おまけ:カウンター
『音読パッケージ』では、○回音読しましょうと具体的な回数が決められています。僕は 10 回以上繰り返し音読するときはこのようなカウンターを使っています。
必ずしも音読回数をきっちり正確にカウントする必要はありませんが、カウンターを使うと余計なことを気にせずに音読に集中できるので意外と便利です。
ちなみに、通販で購入すると高価ですが似たような商品がダイソーにもあるのでそちらの方がお買い得だと思います。近所にダイソーがある方はチェックしてみてください。
単語学習でも必ず音読
音読に利用する教材は長文だけではありません。単語を覚えるときにも必ず 10 回以上繰り返し音読します。
単語集には上の画像のような例文が用意されていることが多いと思います。このような例文を何度も繰り返し音読することで、単語の意味と自然な使い方が身につきやすくなります。単語集によってはリスニング用 CD が付いているので、なるべく CD に合わせた音読をする方が望ましいです。
おわりに:TOEIC 対策にもなるゾ
音読は TOEIC 対策としても効果があります。TOEIC はすべて選択問題ですが、高得点者でもわからない問題はたくさんあるため、そのようなときは適当な選択肢をマークします。しかし、多くの英文を音読した積み重ねがあると「何となくこれが正しい気がする」と直観が働くようになります。そして、積み重ねがある人ほどこの直観が当たりやすくなります。
たとえば全体の 9 割を理屈で解いているのではなく「理屈 7 割 + 何となく 2 割」という感じで底上げしています。900 点だからといって、9 割を理解して解いているわけではないのです。
また、音読は英会話にも効果があります。スポーツや楽器の練習に例えたように、英会話においても音読などのアウトプット練習を繰り返すことがとても重要です。
本で勉強しただけでいきなり英語を話せるようにはなりません。よほどの天才でもない限り、これまでに練習したことしかできるようにならないのです。