先日の記事『お金がなくても独学で英会話が身についた3つの目標と勉強法』が勢いあまって 1 万 5 千字を超える長文になっていたため、3 分程度で読めるように簡単にまとめました。
この勉強法は、木村達哉氏 (英語教師) の生徒が全国高校生英語ディベート大会で優勝するほど上達した勉強法と僕自身が英会話を覚えるまでに実践した方法をあわせたものです。日常会話レベルを目標として、中学英語をベースにした初級者向けの内容にしています。
それでは、サクサクいきます。
英会話ができない 3 つの理由
英会話ができない大きな理由は 3 つ。これらの理由から、何を目標に勉強すべきかが見えてきます。
1. 単語が思い出せない
知っているはずの単語でもすぐに思い出せないことがよくあります。簡単な単語がすぐに口から出てこないため、スムーズに英語を話すことができないのです。
2. 英文が組み立てられない
単語を思い出すことができても、英文が組み立てられないと自分の考えをきちんと伝えることができません。
3. 相手の言葉が聞きとれない
英語が話せるようになっても、相手の言葉が聞き取れないと言葉のキャッチボールになりません。
以上の 3 点をおさえた対策が、英会話を身につけるための基本になります。
3 つの目標
「英会話ができない 3 つの理由」から、目指すべき目標が以下の 3 つに定まります。
- 基本的な単語が口からパッと出る
- 中学レベルの英文が組み立てられる
- 相手の言葉が聞きとれる
1 と 2 は「スピーキング力」
3 は「リスニング力」を伸ばす目標です。
英会話の基本は中学英語なので、最初から難しい単語や文法を覚えなくても大丈夫です。むしろ、中学英語を使いこなすことが、英会話上達の近道になります。
スピーキング力を伸ばす方法
- 基本的な単語が口からパッと出る
- 中学レベルの英文が組み立てられる
スピーキング力を伸ばすには、通訳者の練習でも使われている「クイックレスポンス」が効果バツグンです。
1 つ目の目標には「単語のクイックレスポンス」、2 つ目の目標には「英文のクイックレスポンス」を行って、徹底的に口を鍛えます。
1. 単語のクイックレスポンス
単語のクイックレスポンスとは、単語集などを利用して日本語から素早く英単語を思い出すトレーニングです。
トレーニング方法はとてもシンプルです。
- 日本語を見る (CD がある場合は聞く)
- 0.3 秒以内に英単語を発声する
シンプルな練習法ですが、最初は簡単な単語でも素早く出てきません。何度も繰り返し練習することで英単語の引き出しを開きやすくするのです。地道なトレーニングですが、だんだん英語が口から出やすくなる実感があるはずです。
また、単語はできるだけ CD などの音声を耳で聞いたとおりに発声することで、発音とリスニングの練習にもなるので効率的です。
おすすめ教材
どんな単語集を使っても良いですが、『夢をかなえる英単語 新ユメタン0 中学修了〜高校基礎レベル』はクイックレスポンス専用に作られた単語集になっており、練習用 CD も用意されているのでクイックレスポンスにピッタリです。
また、レベル別にシリーズ化しているため、基本レベルから徐々にステップアップしたい人向けです。
2. 英文のクイックレスポンス
英文のクイックレスポンスは「瞬間英作文」とも呼ばれています。単語のクイックレスポンスと同じ要領で、日本文を見て (聞いて)、素早く英文を発声するトレーニングです。
このトレーニングにより英文のさまざまなパターンが身につき、単語を組み立てやすくなります。
おすすめ教材
瞬間英作文シリーズの『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』は、中学レベルの文法項目に沿ってステップアップしながら練習ができます。最も初級者向けの内容です。
また、さきほども紹介した『新ユメタン』の例文を使って瞬間英作文をすると、単語の使い方も覚えられるので効率的です。
他にも、スマホアプリの『Real英会話』や英語フレーズ集などで練習をすると、さまざまなシーンで役立つ英語フレーズが覚えられるため実用的です。
英文法がわからない?
単語と英文のクイックレスポンスをひたすら練習すれば、英語のアウトプット力がかなりアップします (英検2級の面接レベルは余裕です)。
練習中に英文法の知識がちょっとあやしいと感じた場合は、恥ずかしがらずに『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』などの中学生向け参考書で確認してください。
中学英語の参考書は高校英語よりもずっとボリュームが少ないため、「修得する」ことに専念しやすいのでおすすめです。難しい単語や文法の勉強に時間をかけるより、中学英語をスラスラ話す練習をする方がずっと役立ちます。
リスニング力を伸ばす方法
- 相手の言葉が聞きとれる
リスニング力を伸ばすには、音読パッケージシリーズが非常に効果的です。
僕は英語のやり直し勉強を開始したときから TOEIC で 950 点 (リスニング 490 点) を取得するまで、いつも「音読パッケージ」で覚えた方法でリスニング練習をしていました。
「音読パッケージ」とは以下の 3 つの練習をセットにしたものです。
- 音読
- リピーティング
- シャドーイング
それぞれの練習法を詳しく説明すると長くなるので、『音読パッケージ』の序章「音読パッケージとは」または著者のウェブサイトを参照してください。
リンク:音読パッケージ
おすすめ教材
音読パッケージでは、「少し簡単かな」と感じるレベルの教材を使うのがポイントです。
個人的に強くおすすめしたい教材は『ぐんぐん英語力がアップする音読パッケージトレーニング 中級レベル』です。基本的な内容でありながら、達成レベルも高い教材です。
ただし、ちょっと難易度が高いと感じる場合は以下の教材が初級者向けです。
どの教材を利用する場合でも、「音読」「リピーティング」「シャドーイング」の 3 点セットを行うことでリスニング力がどんどんアップします。結構ハードなトレーニングですが、確実に効果が現れるので本気でリスニング力を鍛えたい人には絶対おすすめです。
発音
発音についても少し触れておきます。英語の発音は、大きく分けると口、舌、喉 (のど) の使い方がポイントになります。
口と舌の使い方については『CD付き英語の発音が正しくなる本』と『CDBフォニックス発音トレーニングBOOK』がわかりやすく、喉の使い方については『英語喉 50のメソッド』で詳しく説明されています。
僕はこれらの 3 冊、特に『英語喉』をしばらく練習したことで、オンライン英会話の講師 (アメリカ人とフィリピン人) から「発音が良い」と褒められることが多くなりました。
ただし、本格的に発音を鍛えるためには、自主トレだけでなく発音レッスンなどで講師の指導を受ける必要があります。
英会話の練習法
ここまでに紹介したのは「英会話の土台」を作るための勉強法、スポーツにおける「筋トレ」のようなものです。
ここからは、英語で自分の考えを話すための練習法について説明します。本章では一人でできる練習法について、次章では他人と英語でコミュニケーションをはかる実践編の説明をします。
説明
「説明」とは、いろいろなものごとを英語で説明する練習です。
好きな映画の内容、今日のできごと、趣味や好きなこと、単語の意味などを英語で説明することでアウトプット力が鍛えられます。
コメント
「コメント」とは、何かを見たり読んだりしたときの意見を英語で伝える練習です。
映画やアニメを観た感想、ブログ記事に対する意見、ニュースやトレンドに対する自分の主張などを英語でコメントすることで、自分の意見を英語でアウトプットしやすくなります。
ひとりごと
「ひとりごと」とは、思いついたことを英語でつぶやく練習です。
目に入ったものを英語で説明する、自分の行動を英語で実況する、思いついたことを英語でつぶやくなど、何でも良いので英語で話す習慣を身につけます。
一人二役
「一人二役」とは、通常は他人と一緒に行う「ロールプレイ」という練習を一人で行う練習です。
レストランのウェイターと客の役を一人で演じて注文をする、道を聞く人と教える人を演じて駅までの道を英語で教える、心の中の友だちとお喋りするなど、英語で誰かと会話をする疑似体験をします。
実践編
ここからは実践編です。
アウトプットの練習は一人でもできますが、実際に誰かとコミュニケーションをはかることで大幅に英語力がアップします。
オンライン英会話
自宅にいながら低コストで英会話を練習するには、やはりオンライン英会話が一番です。
サービスによって仕組みは異なりますが、基本的には Skype や専用ツールを使ったレッスンになります。
オンライン英会話を利用するメリットは多く、海外留学をしなくてもオンライン英会話で英語がペラペラになる人も珍しくありません。
- 話を必死で聞き取ろうとするためリスニング力が付く
- 発音レッスンが受けられる
- 自分では気付かない間違いに気付く
オンライン英会話には色々なメリットがありますが、最大のメリットは、自宅にいながら格安で好きなときにマンツーマンレッスンが受けられる点にあります。
QQEnglish
『QQEnglish』は全体的に講師のレベルが高いことと、豊富なカリキュラムが用意されていることが特徴です。お試しとして、無料体験レッスンが 2 回受けられます。
リンク:QQイングリッシュ
NativeCamp
『NativeCamp』は定額でレッスン受け放題という点が特徴です。現在さまざまなオンライン英会話サービスがありますが、コストパフォーマンスでは最高レベルだと思われます。
オンライン英会話の体験レッスンはいずれも無料なので、すぐに 1 つに決めるよりは、いくつか受けた上で比較検討しても良いと思います。
チャット
無料で英会話の練習をするには海外のチャットサイトが便利です。
最近のチャットは、テキストチャットだけでなくビデオ通話も選択可能です。チャットでは世界各国の色々人たちとやり取りができ、多くの人は非ネイティブなので、英語が世界共通語であることを実感できます。
Omegle
『Omegle』では、無料でテキストチャットまたはビデオチャットが利用できます。
トップ画面の "Add your interests" と書かれたテキストボックスに自分の趣味などを書いて、Text ボタンまたは Video ボタンをクリックすると、自動的に同じ趣味の人と繋がります。
リンク:Omegle
日記
英語で日記をつけることもアウトプットの練習になります。
日記はじっくり考えて書くことができるので、英会話よりも初級者向けと言えます。また、書きためた日記を後で読み返すことで、自分の成長や努力のあとを見ることができます。
Lang-8
『Lang-8』は、世界各国の学習者が利用している無料サイトです。
英語で日記を書いて投稿すると、他のユーザ (英語ネイティブ) が添削をしてくれます。自分では正しいと思っていた英文が修正されたり、自然な表現を教えてもらえたりするのでとても勉強になります。
お返しに、こちらからも他のユーザの日本語を添削すると良好な関係を作ることができます。Lang-8 で知り合った相手と Skype でお互いに練習をするケースもあるようです。
リンク:Lang-8
おわりに
英会話は、言いたいことを完ぺきに英語で言おうとするより、間違えながら簡単な表現でポンポンと喋る方が早く上達します。
チャットなどで他の国の人 (非ネイティブ) と会話をすると、間違いを気にせずにどんどんアウトプットする人の多さに気づきます。
逆に、難しい単語や文法を勉強すればするほど「間違えたくない」という気持ちが強くなって言葉が出にくくなります。その結果、「TOEIC は 800 点なのに話せない」という人も大勢います。
そのため、まずは簡単な単語や中学英語を使いこなす練習こそが重要になってきます。