これはイギリスの実験で、被験者に架空の出来事を繰り返しイメージさせると、半数以上の人たちがその出来事をまるで本当に経験したことのように信じたという内容だよ。
なにそれこわい。
といっても実験自体は安全な方法で行われているから大丈夫だけどね。
被験者の半数以上が架空の出来事を思い出す
記事の内容を簡単に要約するとこんな感じ。
イギリスのウォーリック大学で行われた被験者 400 名を対象とした心理学実験によると、実際には起こっていない出来事の話を聞き、繰り返しイメージすることで、被験者の約半数が本当に経験したことのように信じることがわかった。
実験では、比較的無害な偽の記憶 (子供の頃に熱気球に乗った、先生にいたずらをした、家族の結婚式でトラブルを起こしたなど) を教え込むことで、被験者の約 30% がその出来事を思い出し、どのように起こったかを詳細に語り出した。また、23 % が偽の話をある程度受け入れる様子を見せたという。
被験者に自分が乗ったとされる熱気球の写真を見せた場合には偽の話を受け入れにくくなり、記憶がねつ造される可能性が低下した。研究者によると、このような写真を見せると出来事を思い出すときのイメージ力が抑えられ、記憶が形成されにくくなったのが原因だと考えられる。
被験者は当初「記憶にない」と話していたが、その後「思い出した」と発言が変わった。報告書には「このように、被験者の約 3 分の 1 が偽の記憶の証拠を示し、半数以上が過去にその出来事があったことを信じる兆候を見せた」と書かれている。
記憶というのは結構いい加減なものですね。
実際にあったことを忘れるだけでなく、なかったことを思い出すなんて不思議だよね。
さて、今回の例文はこれ。
"Thus, approximately one-third of participants showed evidence of a false memory, and more than half showed evidence of believing that the event occurred in the past."
「このように、被験者の約 3 分の 1 が偽の記憶の証拠を示し、半数以上が過去にその出来事があったことを信じる兆候を見せた」
これは、実験の報告書にこのような 1 文があったことを示すために、ダブルクォーテーションでくくられているよ。
最初の Thus は「このように」という意味で、論文などでよく使うかたい言葉。
approximately one-third of participants がこの英文の主語で「参加者 (被験者) の約 3 分 の 1」。one-third が 3 分の 1 って意味ね。
showed が述語動詞で、showed evidence of a false memory で「偽の記憶の証拠を見せた」。つまり、本当に経験したかのように語り出したということ。
そして接続詞 and の後の more than half showed evidence of believing that で「半数以上が〜を信じる証拠 (兆候) を見せた」。何を信じるのかというと、それが that 以下に書かれている。
that the event occurred in the past で「過去にその出来事が起こった」。というわけで、「過去にその出来事が起こったと参加者の半数以上が信じる兆候を見せた」ってこと。
不思議な実験ですね。僕が記憶していることも、すべてが本当に起こった出来事ではないのかもしれないな。
警察の取り調べで、本当は何もやっていないのに何度も問いただされているうちにだんだん自分がやった気がしてきて自白するとか、そんな話を聞いたことがあります。
そのケースも、今回のイギリスの実験から分かるように、繰り返し同じ事を言われると本当に経験した気がしてくるということかもしれないね。
そういえばシンちゃん、私にケーキを買ってくれるって言ってたよね?
え? 言ってませんよそんなこと。
ケーキ買ってくれるって言ったよね。ケーキ買ってくれるって言ったよね。
ケーキ買ってくれるって言ったよね。ケーキ買ってくれるって言ったよね・・・・・・。
思い出した・・・・・・さっそく買いに行きましょう・・・・・・。
登場キャラクター
シン
英語が苦手な少年。ミサから英語を教わっている。
ミサ
英語を教えてくれる近所のお姉さん。