(※ 本記事は数年前に他のブログで書いた記事に修正を加えたものです。
僕は TOEIC でどうしても 900 点台に届かなかった頃、TOEIC 対策をやめてしばらく多読ばかりしていたことがあります (一日30分程度)。その後一気に 950 点に届きました。それ以降、英語勉強法の一つとして多読を勧めています。もちろんオンライン英会話などもお勧めです)
英語で読むホームズ
効果的な英語学習方法の1つとしてこれまでに多読を推奨してきましたが、今回は多読に利用しやすいペーパーバックの紹介をします。ペーパーバックとは安価な紙に印刷された本のことで、当ブログでは特に簡単な洋書のことを指しています。
ペーパーバック(英: paperback)もしくはソフトカバー(英: softcover, softback)とは、安価な紙に印刷され、ハードカバーの様に皮や布や厚紙による表紙を用いていない形態の本のことである。 並製本(なみせいほん)、仮製本、ペーパーカバーともいう。
ペーパーバックのシャーロック・ホームズを薦める理由
話が面白い
初級者向けのペーパーバックは語彙(使用される単語数)が制限されていて多読向けに利用しやすいのですが、正直なところ話があまり面白くない作品が多いように感じます(個人の感想です)。しかし、ペーパーバックの中でもミステリー作品は比較的面白いものが多く、特に世界的にヒットしたシャーロック・ホームズシリーズは楽しく読むことができます。
原書より読みやすい
ペーパーバック版のシャーロック・ホームズは、原書を簡単な言葉で書き換えたものです。またシャーロック・ホームズシリーズは元々短編が多いのですが、ペーパーバック版はさらに文量が削減されているため、初級者にとって原書より気軽に読みやすくなっています。同じ多読でも、長編を1本読むより短編を数本読む方が定期的に達成感が味わえて長続きしやすいように思います。
翻訳本が入手しやすい
シャーロック・ホームズシリーズは日本語翻訳本が複数の出版社から出版されています。そのためペーパーバックの英語につまづいても翻訳本で意味を確認することができます。ペーパーバックを読み慣れていない場合は、翻訳本を先に読んで全体を理解しても良いでしょう。
英語講師の安河内哲也氏は、翻訳本を先に読む方法を提案しています。
私が思いきった方法としてお勧めしたいのが、翻訳が出ている本ならば、まず日本語訳を読んでからオリジナルの英文を読むという方法です。一度日本語で内容を把握してから読むと、初めて読む英文でもかなり楽に読めます。
『Sherlock Holmes and Duke's Son』
今回紹介するのは、シャーロック・ホームズシリーズの1つ『Sherlock Holmes and Duke's Son』。オックスフォード・ブックワームズ・ライブラリーStage 1の作品です。Stage 1では、使用される語彙が400語に制限されていて英語初級者にも読みやすくなっています。
Sherlock Holmes and Duke's Son | |
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あらすじ
ベイカー街にあるシャーロック・ホームズの下宿に大柄の男が現れます。彼はプライアリ・スクールの創立者ハクスタブル博士。ハクスタブル博士は下宿に着くなり疲労のためしばらく動けなくなります。その間にホームズは、ハクスタブル博士の持ち物を見てちょっとした推理を披露します。ここはホームズのお約束ですね。
その後意識の戻ったハクスタブル博士から話を聞くと、大富豪ホールダネス公爵の一人息子ソルタイア卿がプライアリ・スクールの寄宿舎から失踪したことがわかります。ホールダネス公爵は、ソルタイア卿の所在を知らせた者に5千ポンド、誘拐犯の名前を知らせた者にさらに千ポンドの小切手を切ると言います。
ホームズと助手のワトソンが寄宿舎を調べると、ソルタイア卿だけでなくドイツ人教師のハイデッガーも失踪していました。ソルタイア卿とハイデッガーの身に一体何があったのでしょうか。
感想
ミステリーらしいオープニング、ホームズの推理、そして意外な結末でした。近年のミステリー小説のような派手な演出はありませんが、短編作品としては十分に楽しめる内容です。
古い時代の話なので使われている言葉も古く、「公爵」などの見慣れない単語もいくつかありました。オックスフォード・ブックワームズ・ライブラリーは巻末に用語集が付いているので辞書を使わなくても意味が確認できます。
ちなみに、シャーロック・ホームズシリーズは助手のワトソンが書いた手記という設定なので、本文中に「私」とある場合はワトソンのことを指しています。この設定を知らないとややこしくなってしまうのでご注意ください。
翻訳本
『Sherlock Holmes and the Duke's Son 』の日本語翻訳版は『プライアリ・スクール』または『プライオリ学校』。『シャーロック・ホームズの生還』に収録されています。原文が難しく感じる場合は翻訳本と合わせて読むと良いでしょう。
前述のとおり、ペーパーバック版のシャーロック・ホームズは原書を簡単に書き換えたものなので、翻訳と完全には対応していません(翻訳の方が文量が多く描写が細かい)。しかし内容を把握するには十分に役立ちます。
光文社文庫の『シャーロック・ホームズの生還』には、全部で13本の短編作品が収録されています。他の出版社からもシャーロック・ホームズの翻訳本が出版されていますが、光文社文庫の新訳シャーロック・ホームズ全集は出版年が最近なので、他の古い翻訳本よりも読みやすい日本語で書かれていました。
シャーロック・ホームズの生還 | |
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最大の敵は挫折
今回は、ペーパーバック『Sherlock Holmes and Duke's Son』を紹介しました。
英語多読の最大の敵は挫折です。面白くない作品をたくさん読むのは苦痛ですし、すぐに嫌になってしまいます。そのためできるだけ面白い作品を読んで挫折を回避したいものです。
また、意味の分からない英文に出会うことも挫折の原因になりがちです。翻訳本が手に入りやすい作品であれば、分からない所の確認ができて便利です。「答え」がすぐに分かるのは安心感がありますよね。
これらの理由から、先日は英訳漫画、今回はペーパーバックのシャーロック・ホームズを紹介しました。参考になりましたら幸いです。
どうも、2018 年のワイです。
約 2 年前に書いた記事ですが、自分でも久しぶりに読みました。今と文体はあまり変わっていない気がします。
この記事でも書いたように、ホームズの短編集は翻訳本もあり内容も面白いので多読の練習用にお勧めです。
※ ホームズ多読シリーズはこれからしばらく続きます。
[追記] 映画のホームズも面白いよ!
シャーロック・ホームズ (字幕版) | |
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