猫でもわかる 秘密の英語勉強会

映画『グラン・トリノ』を観ながら英語勉強会

今回は映画『グラン・トリノ』を観ながら英語を勉強しよう。

グラン・トリノと言うと、アメリカのフォード・モーター社が生産したフォード・トリノという車の 1972-1976 年式と同じ名称ですね。どんな映画ですか?

まるでウィキペディアで調べたみたいに詳しいね。まさにそのグラン・トリノという車がでてくる映画だよ。主人公は妻を亡くした老人で、家族にさえ心を許さない頑固な人なんだけど、ある少年と関わるようになってから色々な出来事が起こるという話。今回は公式の動画があったのでここに置いておくね。


グラン・トリノ予告編

ちなみに、この映画ではクリント・イーストウッドが監督、プロデューサー、主演を務めているよ。

クリント・イーストウッドってかなりの高齢なのに大活躍ですね。

『グラン・トリノ』を観ながら英語勉強会

グラン トリノ

まずは、映画で外国語が上達するシネマ作戦のおさらいから。

 シネマ作戦とは

説明しよう。シネマ作戦とは映画好きの情熱を英語力に変換する勉強法である。

英語に限らず、映画やアニメで外国語を覚える人は少なくない。方法は次の通り。

シネマ作戦

単語を変える練習は「パターンプラクティス」とも呼ばれ、実績ある練習法として古くから知られている。

好きな歌を覚えるように、映画を観ながら好きな台詞を繰り返し音読するのがポイントだ。

ここからは映画の台詞をたくさん取り上げるけど、無理に全部覚えようとしなくていいからね。とりあえず、こんな台詞もあるんだということだけ抑えて、好きな台詞に絞って練習するといいよ。

『グラン・トリノ』

 ウォルトの息子の台詞

It's inevitable.

どうしようもないよ。

inevitable は「避けられない」。evitable が「避けられる」という意味の単語で、否定を意味する in- を頭に付けて inevitable 「避けられない」となっているよ。

たとえば visible 「目に見える」に in- を付けると invisible 「目に見えない」、formal 「公式の」に in- を付けると informal 「非公式の」となるのと一緒だね。

どんな単語でも in- を付けるだけで反対の意味になるんですか?

いや、どんな単語でもというわけではないから、それは単語ごとに確認して。

 ウォルトの息子の台詞

Well, why don't you have him move in with you?

なら、兄さんが引き取るか?

well は「じゃあ」みたいな話をつなぐ言葉。why don't you 〜 は直訳すると「なぜ〜しないのか?」となるけど「〜しませんか?」とか「〜したら?」という提案や助言を表す意味になるよ。

have him move in の have は使役動詞。have + [人] + [動詞の原形] で「[人] に〜させる」となる。move in with + [人] は「[人] の所に引っ越してくる」。

 神父の台詞

That's why you have to turn to the Lord.

だからこそ、神を信じるのです。

That's why 〜 は「だから〜だ」という意味。先に理由を説明して、「だから〜だ」と結論をつなげる感じだね。turn to 〜 は「〜に頼る」、Lord は「(キリスト教の) 神」。

 ウォルトの息子がウォルトに

I wish I could help, Dad, but I gotta get the kids home.

父さん、手伝いたいんだけどそろそろ帰らなきゃ。

I wish I could help は「手伝うことができたら良いのですが」という意味。手伝いたい気持ちはあるけど手伝えないということ。

gotta は got to の略。have to と同じ意味で「〜しなければならない」。話し言葉だね。I gotta go. で「もう行かなきゃ」というフレーズもよく使われる。チャットなどではさらにこれを省略して gtg とか g2g と書いたりもするよ。

あれ? g2g の 2 は何ですか?

これは got to go の to と 2 (two) の発音が同じだから g2g と略しているの。同じように、前置詞 for の代わりに 4 を使うこともあるよ。

get + [人] + home は「[人] を家に連れて行く」という意味。

 スーがフォンに

He doesn't wanna talk to you.

話す気はないって。

wanna は want to と同じ意味。「彼はあなたと話したくない」となる。

 従兄弟たちがグラン・トリノを見て

It's still in mint condition.

まだピカピカの新車同然だ。

mint condition は「新品同様の」。

 バーの客が神父に

What brings you in here, Father?

何しに来たのかな?

What brings you in here を直訳すると「何があなたをここへ連れてきたのか?」となるけど「なぜここに来た?」という意味を表しているよ。

 神父の注文

I'll have a Diet Coke.

ダイエットコーラを。

I'll have 〜 で「〜をください」と何かを注文する意味になる。

ダイエットコーラを。

I will have a Diet Coke

ダイエットコーラ飲んだら痩せると思ってるやつ。

 ウォルトの台詞

Get off my lawn.

芝生から出ろ。

get off 〜 は「〜から離れる」。

 スーがウォルトに

That's why they keep bringing you gifts.

だから贈り物をするの。

これも That's why 〜 「だから〜だ」だね。keep -ing で「〜し続ける」。

 スーがウォルトに

Take it easy.

わかったわ、わかった。もういいでしょ。

take it easy は「落ち着いて」とか「リラックスして」という意味だね。

 スーとウォルトの会話

We're Hmong, not "Humong."

モン族よ、ハモン族じゃない。

Whatever.

何でもいい。

これは話し言葉の whatever で「何でもいい」とか「どうでもいいよ」という意味。

 スーがウォルトに

There's tons of food.

ごちそうがたっぷりある。

(中略)

We've got beer too.

ビールだってあるわよ。

tons of は「たくさんの」。have got は have と同じ意味で「持っている」。

ごちそうがたっぷりある。

There is tons of food

思ってたのと違うんだが。

 ウォルトがスーに

Don't call me Wally.

ウォーリーって呼ぶな。

call A B で「A を B と呼ぶ」。

 ユアがウォルトに

My friends and I were just wondering what you're doing here.

皆気になってるんだけどここで何してるの?

I wonder 〜 や I was wondering 〜 は「何が〜だろうと思う」。ここでは主語が複数なので was じゃなくて were だけどね。...wondering what you're doing here. なので「あなたがここで何をしているのだろうと思う」となる。

 ウォルトがタオに

I gotta go.

もう行くか。

さっき説明した I gotta go. だね。I have to go. と同じ意味。

g2g ですね。

 ウォルトがタオに

All you slopes are supposed to be good at math, right?

アジア人は計算が得意だと言われているな。

be supposed to 〜 にはいくつかの意味があるけど、ここでは一般にこう考えられているという意味。slope はアジア人を表していて、「アジア人は計算が得意なんだよな」ということ。

 ウォルトがタオに

Take the day off. You've done enough.

今日は休みにしよう。十分働いた。

take the day off は「仕事を休む」。

 ウォルトの息子がウォルトに

So why don't you call me this weekend?

それじゃあ、また週末に電話して。

why don't you 〜 は人に依頼するフレーズ。call は「電話をかける」。

 ウォルトがタオに

Why don't you turn on the fan?

扇風機を回せ。

これも why don't you 〜 だね。turn on 〜 は「(スイッチを) 入れる」。逆に、スイッチを切る場合は turn off 〜。

on は「接触する」イメージで、off は「離れる」イメージでしたっけ。

そう。電気製品などは接点をくっつけたり離したりすることでスイッチを入れたり切ったりするからね。switch on 〜、switch off 〜 とも言うよ。

スイッチの on と off のイメージ。

Turn on turn off
 ウォルトがスーに

Get me another beer.

もう 1 本ビールを持ってきてくれ。

get + [人] + [物] で「[人] に [物] を持ってくる」。

 服屋がウォルトに

We gonna shorten the sleeves a little bit. Gonna fix the shoulder.

袖をちょっと短くつめて、肩を調整しましょう。

gonna は going to と同じ意味。shorten は「短くする」、a little bit は「少し」。2 つ目の文は主語が省略されているね。

 神父とウォルトの会話

What have you done?

一体何をしたんですか?

Nothing. You just take it easy, now.

何もしちゃいない、慌てるな。

ここにも take it easy 「落ち着いて」。

 ウォルトがタオに

I was the only one that came back that day.

その日戻ったのは俺だけだった。

one と came の間にある that は関係代名詞で直前の one に説明を加えている。that came back that day が「その日戻った」なので「その日戻った唯一の人」ということ。

 


 

クリント・イーストウッドが渋くて格好いいなぁ。若い頃からずっと映画スターのままですね。この映画に関しては、色々考えさせられる展開で、特に結末は複雑な心境になりました。

多くを語らないのにメッセージ性の強い印象を受ける内容だったね。今回も台詞を全部覚えるのは無理だから、まずはお気に入りの台詞で練習すると良いよ。

例文引用
映画『グラン・トリノ』

登場キャラクター

シン
英語が苦手な少年。ミサから英語を教わっている。

ミサ
英語を教えてくれる近所のお姉さん。

レイ
シンの同級生。絵を描いて勉強会のサポートをしている。